日本からベトナム(ハノイやホーチミン)へのフライト時間は約5〜6時間。 欧米へのフライトに比べれば短いものの、LCCの狭い座席でじっとしている時間は、意外と体力を削られるものです。
特に、前の座席のテーブルにスマホやタブレットを置いて動画を見ていると、どうしても視線が下がって首が痛くなりませんか? 以前の職場環境から脱出し、ようやく手に入れた自由な時間。せっかくなら移動時間も含めて快適に過ごし、現地でのパフォーマンスを最大化したいものです。
今回は、そんな移動時間のストレスを劇的に減らし、機内を「プライベートシアター」に変えてくれるガジェット**「XREAL Air 2 Pro」**をご紹介します。
XREAL Air 2 Pro とは? 基本スペックと特徴
まずは、エンジニアらしく基本的なスペック(仕様)を押さえておきましょう。 「XREAL Air 2 Pro」は、サングラスのようにかけるだけで、目の前に巨大なスクリーンが広がるARグラスです。
- ディスプレイ: Micro-OLED(有機EL)採用で、鮮やかな色彩と深い黒を表現。
- リフレッシュレート: 最大120Hz。動画もゲームもヌルヌル動きます。
- 電子調光機能: Pro版の最大の特徴。レンズの透過率をボタン一つで3段階(0%、35%、100%)に変更可能。
- 接続: USB-C(DisplayPort Alt Mode対応)ケーブル1本で接続。
要するに、**「ケーブルを挿すだけで、どこでも巨大モニターが出現する」**デバイスです。これまでのモデルと違い、物理的なカバーをつけなくても、ボタン一つでレンズを真っ暗にできる「電子調光」がついたのが、機内利用においては最強のアップデートと言えます。
ベトナム行きフライトで実感したメリット
実際に、ベトナムへのフライトで使用してみました。結論から言うと、**「もうこれ無しでの渡航は考えられない」**レベルです。
1. 首の痛みからの解放(エルゴノミクスの勝利)
これが最大のメリットです。 通常、機内のテーブルにiPadやスマホを置くと、どうしても首が曲がった状態(スマホ首)が数時間続きます。これは頸椎への負担が大きく、現地到着後の疲れに直結します。
XREAL Air 2 Proなら、**「上を向いたまま」**動画が見られます。 座席をリクライニングさせて、頭をヘッドレストに預けた状態で、目の前にスクリーンが浮いている感覚。まさに無重力シアターです。体が一番楽な姿勢のままコンテンツ消費ができるため、疲労感が段違いです。
2. 音漏れの心配はほぼ無用
機内で気になるのが「音漏れ」です。 このグラスには「指向性スピーカー」が搭載されており、耳元だけに音が届く設計になっています。
- 静かな環境: 自分の耳にはクリアに聞こえますが、グラスを外して少し離すとほとんど聞こえなくなります。
- 隣席への配慮: 実際に隣席の方に不快感を与えるような音漏れリスクは、通常の音量であれば極めて低いと感じました。
ただし、飛行機のエンジン音(ゴーッという環境音)はかなり大きいです。 XREALのスピーカーでも十分聞こえますが、AirPods Proなどのノイズキャンセリングイヤホンを併用すると、没入感がさらに高まります。「静寂の中で大画面」という環境構築が可能です。
3. 長時間着用でも疲れない軽さ
重量は約75g。 一般的なサングラスよりは重いですが、前後の重量バランスが良く、6時間のフライト中に映画を2〜3本見ても、鼻や耳が痛くなることはありませんでした。装着感(フィッティング)は非常に優秀です。
正直に語るデメリットと注意点
良い面ばかり語るのは誠実ではありません。運用上の課題(バグや仕様制限)についても触れておきます。
1. スマホの「スリープ」問題
XREAL Air 2 Proは、接続しているデバイス(スマホやタブレット)の画面をミラーリングする仕組みです。 そのため、デバイス側をスリープ(画面オフ)にすると、グラスの映像も消えてしまいます。
ポケットの中でスマホの画面が点灯し続けることになるため、誤作動防止の設定や、発熱への配慮が必要です。
2. ケースがかさばる
付属のトラベルケースはしっかりした作りでグラスを保護してくれますが、カバンの中でそれなりの体積を占有します。LCCの手荷物重量制限(7kgなど)と戦う我々にとって、荷物の容量管理はシビアな問題です。
3. バッテリー問題への対処法
スマホに接続して映画を見続けると、スマホ側のバッテリーが消費されていきます。 現地空港(ノイバイ空港やタンソンニャット空港)に到着した瞬間、配車アプリの「Grab」を呼んだり、Googleマップを見たりと、スマホはライフラインになります。到着時にバッテリー切れというのは、避けたい事態です。
そこで、私が実践している運用回避策(ワークアラウンド)をご紹介します。
【Engineers’ Tips】タブレット端末を「再生専用機」にする
私はXREALのホストデバイスとして、メインのスマホではなく**「iPad mini(またはAndroidタブレット)」**を使用しています。
おすすめの運用構成
- メインスマホ: 現地での通信・連絡用として温存(機内では充電または待機)。
- タブレット: XREAL接続用として、動画再生に専念させる。
タブレットはスマホに比べてバッテリー容量が大きいため、XREALへの給電を行いながらでも、ベトナムまでの6時間フライト程度なら十分に持ちこたえてくれます。
これにより、「現地に着いたらスマホの電池がない!」というトラブルを完全に回避できます。デバイスの役割分担を明確にすることが、快適な旅の秘訣です。
まとめ:移動時間を「自由な時間」に変える投資
XREAL Air 2 Proは、単なる映像機器ではなく、「移動の苦痛をエンターテイメントに変えるツール」です。
かつては苦痛だった移動時間が、リラックスして映画を楽しめる時間になれば、旅の質は大きく向上します。ベトナム旅行はもちろん、出張や長距離移動が多い方には、価格以上の価値があるデバイスです。ぜひ、この没入感を体験してみてください。
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