2週間のホーチミン出張。現地の開発チームとの連携やミーティングをこなし、ようやく訪れた週末。 私は自分へのご褒美として、一泊二日の「ダナン弾丸プライベート旅行」を敢行しました。
美しいビーチ、美味しい海鮮、そしてリゾートの空気。仕事の疲れを癒やし、あとは日本へ帰国して月曜からまた日常に戻るだけ……。 そんな完璧なプランが、帰りの空港での「慢心」によって脆くも崩れ去るとは、この時は知る由もありませんでした。
今回は、出張帰りのエンジニアが「出国手続き完了後に飛行機に乗り遅れる」という失態を演じ、翌日の会社を半休する羽目になった全記録を共有します。 Trip.comで予約したチケットの行方や、出国取り消しのレアな手続き、急遽確保したホテルの情報まで、反面教師としてご覧ください。
慢心が招いた「置いてきぼり」事件
フライトのルートは、ダナンからホーチミン(タンソンニャット国際空港)を経由して日本へ帰国する行程でした。 ダナンからの国内線が遅延していたものの、ホーチミンでの乗り継ぎ時間には十分な余裕があり、無事に出国審査と保安検査をクリア。 「よし、これで今回の出張ミッションはコンプリートだ」と、私の頭の中ではすでにエンドロールが流れていました。
ラウンジという名の聖域(魔境)
搭乗ゲートの変更や遅延のアナウンスが飛び交う空港内。しかし、私は「まだ時間がある」と高を括り、ラウンジで優雅に食事を楽しんでいました。 ベトナムのラウンジ飯は美味しく、2週間の仕事の緊張から解放された私は完全にリラックスモード。
しかし、ここでエンジニアとしてあるまじき「監視アラートの見落とし」が発生します。 飛行機が遅延していた影響で再出発のタイミングが調整されていたのですが、私はそれに気づかず食事を続けていました。
ふと時計を見てゲートに向かったときには、時すでに遅し。 スタッフの方に確認しましたが、返ってきたのは無情な「Closed」のサイン。飛行機は私の目の前(というか滑走路の彼方)へ出発していました。
目の当たりにした「人間模様」
絶望したのは私だけではありませんでした。ゲート付近には、同じように乗り遅れた数名の日本人の姿が。
- 膝から崩れ落ちて絶望する人
- スタッフに激しく詰め寄り文句を言う人
- 現実を受け入れられず呆然とする人
日本語が聞こえてきたので、おそらく同じ便で帰国予定だった同胞たちでしょう。 「ああ、人間は極限状態になるとこうなるのか」と、妙に冷静な自分がいました。トラブルすらもコンテンツとして楽しむ、ある種の防衛本能が働いていたのかもしれません。
未知の体験「出国取り消し」と荷物の行方
飛行機に乗れなかった場合、一度出国手続きを終えているため、私たちは法的に「ベトナム国外」にいる扱い。しかし、物理的にはベトナムに留まらなければなりません。 ここから、非常にレアな「出国取り消し(逆入国)」のフローが始まりました。
1. 職員に連行される
まず、航空会社のスタッフに先導され、出国審査の場所へと戻されます。 これから海外へ飛び立つワクワクした顔の人々の列を逆走し、出張帰りの疲れた体を引きずって戻るこの虚しさ。メンタルに来ます。
2. キャリーケースの返却待ち
ここで一つの発見がありました。「搭乗者が乗っていない場合、預け入れ荷物も降ろされる」ということです。 テロ対策などのセキュリティ上の理由から、持ち主不在の荷物を載せて飛ぶことはできないというロジックです。システム運用で言えば、依存関係にあるプロセスがコケたら、関連ジョブもキルされるようなものでしょうか。
結局、私のキャリーケースが機内から降ろされ、手元に戻ってくるまで30分ほど待機しました。 「私が乗らないと、荷物も運ばれない」。巨大な空港システムが正しく機能していることを身を持って知りました。
3. 空港からの退去
荷物を受け取り、パスポートの出国スタンプに「CANCEL」のような処理をされ、晴れてベトナム国内へと「釈放」されました。 時刻はすでに深夜。ここからが本当の戦いです。
リカバリーと損害額の計算
まずは翌日の帰国便の確保です。 今回の航空券はTrip.comで予約したものでした。OTA(オンライン旅行代理店)経由だと、トラブル時の対応が複雑になるケースもありますが、今回は空港のチェックインカウンターで直接交渉しました。
費用の内訳と対応
カウンターで事情を説明し、翌日の便を確保。
- フライト変更費用:約18,000円
- ホテル代:3,442円
- タクシー代等:数千円
- 合計:約20,000円強
正規料金での買い直しを覚悟していましたが、おそらく「予約変更」扱いに近い形で処理してもらえたのか、18,000円程度で済みました。Trip.com経由のチケットでも、現場の航空会社カウンターで柔軟に対応してもらえたのは不幸中の幸いです。
会社への報告
最大のダメージはここです。 日曜中に日本着の予定が月曜着になったため、会社へ連絡し「月曜午前半休」を取得することに。 「出張お疲れ様でした」と迎えられるはずが、「飛行機に乗り遅れました」という報告をする気まずさ。社会人としての信頼スコアが少し削られた気がします。
急遽確保した「THE AIRPORT HOTEL」宿泊記
空港を追い出されたのは、本来出国しているはずだった時刻から2時間後。 Agoda等のアプリを駆使し、以下の条件で宿を探しました。
- 空港から近い
- 24時間チェックイン可能
- 安い(これ以上の出費は防ぎたい)
そこで見つけたのが、その名も「THE AIRPORT HOTEL」。 あまりにも直球なネーミングに惹かれ、即予約。価格は1泊3,442円でした。
ホテル概要
- ホテル名:THE AIRPORT HOTEL
- 住所:11 Cửu Long, Phường 2, Tân Bình, Thành phố Hồ Chí Minh 700000 ベトナム


外観とアクセス
空港からタクシーで数分。深夜のベトナムの路地にそのホテルはありました。 深夜にも関わらずフロントにはスタッフがいて、スムーズにチェックイン。やはり24時間対応は正義です。
室内の様子
通された部屋は、シンプルながらも清潔感がありました。 壁紙やクッションにはベトナムらしい伝統的な柄があしらわれており、無機質なビジネスホテルとは違った温かみがあります。
良かった点:
- 静けさ:深夜の到着だったこともあり、静かに眠れました。
- Wi-Fi完備:翌朝の会社への連絡や業務連絡も問題なく行えました。
気になった点:
- 特になし。強いて言えば、自分がここにいる理由が「乗り遅れ」であることへの自己嫌悪くらいでしょうか。
コンセントプラグがセットのモバイルバッテリーがあると、お店でスマホに充電しつつモバイルバッテリーにも充電できるので便利ですよ
「待つ」という試練:翌日の過ごし方
翌朝、目は覚めましたが、振替便は深夜0時。チェックイン指定時刻の18:30までもかなりの時間があります。 2週間の出張と前日のトラブルで疲弊していたため、観光する気力もなく、空港近くで大人しく待機することにしました。
カフェでの耐久戦
近くのカフェに入り、ひたすら時間を潰しました。当時は雨季で、時折激しいスコールが降るため移動も面倒です。
PCを開き、作業をし、コーヒーを飲む。 昼頃に対応してくれた店員さんが、夕方のシフトで戻ってきたとき、まだ同じ席にいる私を見て「お前、まだいるのか!」(※推測)といったリアクションをしていました。 もちろん、場所代としてドリンクは何度もお代わりさせていただきました。
早すぎる到着
不安すぎて18:00には空港のカウンターへ行きましたが、スタッフから「まだ早い」と苦笑いで注意を受けました。
一度失敗すると、臆病になりすぎるのも人間の性ですね。
今回の教訓とまとめ
今回の「出張帰り乗り遅れ事件」で得た教訓をまとめます。
Root Cause(真因)
- アラート監視の不備:搭乗口変更や時間変更のアナウンスを能動的に確認していなかった。
- 慢心:出張の全工程を終えたという安堵感と、ラウンジの快適さ。
- Trip.com等のアプリ活用不足:運行状況の通知設定などを確認すべきだった。
Impact(影響)
- 金銭的損失:約20,000円(自腹)。
- 社会的損失:月曜午前半休。
- 精神的疲労:プライスレス。
最後に
飛行機に乗り遅れるという経験は、その瞬間こそ絶望的ですが、過ぎ去れば良いネタになります。 そして、2週間の出張の最後に「THE AIRPORT HOTEL」というローカルな宿に泊まり、ベトナムの日常的なカフェの風景を長時間観察できたのは、ある意味で貴重な体験でした。
出張に行かれるエンジニアの皆さん。 コードのバグはデバッグできますが、飛び立った飛行機はロールバックできません。 ラウンジでの長居と、帰国直前の慢心にはくれぐれもご注意ください。
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