【名ばかり裁量】朝8時出社強要の闇。ブラックITを脱出したPMのリアル

「裁量労働制だから」という理由で毎日朝8時の出社を強要され、人身事故で電車が遅延すれば会議室に立たされて説教を受ける……。

これは、私がかつてITエンジニアとして働いていたブラック企業で経験した「名ばかり裁量労働制」のリアルな日常です。

連日ニュースで高市首相による「裁量労働制の見直し」が話題になっていますが、この制度は本当に労働者を幸せにするのでしょうか。現在、私は無事にブラック環境を脱出し、プロジェクトマネージャー(PM)として働き方の裁量を持ちながら自由な生活を目指しています。

今回は、私自身の痛烈な実体験をもとに、裁量労働制という制度の光と影、終わらないタスクで搾取される仕組み、そして転職活動で「ヤバい企業」を回避するための具体的な見極め方をお伝えします。

裁量労働制が「正しく機能する」理想の環境とは

私の過酷な体験をお話しする前に、まずはPMとなった現在の視点から、裁量労働制が「本来どうあるべきか」を論理的に整理しておきます。制度自体が悪なのではなく、運用する組織の仕組みがすべてを決定づけるからです。

裁量労働制が労働者にとって真のメリットになる絶対条件は、「スケジュールの担当者が明確であり、毎日のタスクが粒度細かく定義されていること」です。

私が現在PMとしてプロジェクトを回す際も重視していますが、今日やるべきタスクと、次に時間がかかりそうなタスクが完全に「見える化」されていれば、エンジニア自身が「今日はここまで終わったから早く上がろう」「明日は重い実装があるから、今日は十分休養しよう」と、自律的に勤務時間を調整できます。

例えば、私が好んで一緒に仕事をしているベトナムの優秀なオフショアエンジニアたちとも、こうした明確なタスク管理があるからこそ、時差や場所の壁を越えて柔軟で効率的な開発が成立しています。

タスクのゴールと評価基準が明確であること。これこそが、裁量労働制が機能するための大前提なのです。

終わらない追加タスク。前職の「名ばかり裁量」の生々しい実態

しかし、前職のブラック企業では、この大前提が根底から崩壊していました。タスク管理など名ばかりで、実態は「残業代を払わずに無限に働かせるための免罪符」として制度が悪用されていたのです。

突然降ってくる「今すぐやれ」の嵐

前職では社内システムの開発・運用を担当していましたが、朝の業務ミーティングや日中の進捗報告のたびに、際限なく追加依頼が発生しました。 運用側の部署から「ここを直せばもっと業務効率が上がる」「売上に直結するから」という声が上がると、計画やスケジュールはお構いなしに「今すぐやれ」とトップダウンで指示が飛んできます。

タスクの発生と優先順位の入れ替えが毎日、いや毎時間のように頻発する環境で、「自分の裁量で仕事を終わらせて帰る」ことなど物理的に不可能です。結果として、36協定の限度などとうに超えるレベルの長時間労働が常態化していました。プログラムを書くこと自体は好きだったので精神は崩壊しませんでしたが、客観的に見れば異常な搾取構造です。

裁量ゼロ。「朝8時出社」と「立たされ説教」の理不尽

さらに理不尽だったのは、時間の拘束です。 本来、裁量労働制に出勤時間の厳密な規定は馴染みません。会社の就業規則でも「9時出勤目安」となっていました。しかし、ワンマン社長が異常な早起きだったため、社長のライフスタイルに合わせて「毎朝8時からのミーティング」が強要されていました。

ある日、通勤電車が人身事故で遅延しました。私は元々早めに出社してタバコを吸いながら始業に備えるのが日課だったため、本来の9時には間に合う時間でした。しかし、社長ローカルルールの「8時」には間に合わず。 出社するなり激怒され、いい大人が会議室に立たされたまま説教を受けました。法的に遅刻の概念すらないはずの裁量労働制で、前時代的な精神論によるペナルティを課される。制度と実態の乖離が極限に達していた瞬間でした。

私がブラック企業からの脱出を決意した「決定打」

一般的に見れば「すぐにでも辞めるべき」環境でしたが、当時の私は感覚が麻痺しており、「忙しいレベルでは何とも思わない強靭なメンタル」ができあがっていました。そんな私が、ついに退職と転職を決意した決定打があります。

それは、コロナ禍で会社の売上を取りに行くため、本来の社内システム開発に加えて「受託開発」を兼任させられた時のことでした。

受託開発には、当然ながらお客様と約束した「納期」と「契約」が存在します。しかし、社長は「案件を受注した時点で自分の目的は達成した」と勘違いしているような人物でした。 あろうことか、お客様との納期が迫っている受託案件の開発を後回しにしてまで、優先度の低い社内システムの細かな修正対応を私に優先するよう命じてきたのです。

「この組織は、顧客との約束すら守る気がないのか」

エンジニアとしての品質へのこだわり以前に、ビジネスパーソンとしてのモラルが欠如している社長の姿勢に、私は心の底から嫌気がさしました。「こんな環境でどれだけ身を粉にして働いても、自分の思い描く自由な生活や、正しい評価には一生たどり着かない」。そう確信した瞬間が、私のブラック企業脱出のトリガーとなりました。

裁量労働制で失敗しないための「企業の見極め方」

私の痛い経験を踏まえ、これから転職を考えるエンジニアの方に向けて、裁量労働制(あるいはそれに類するみなし残業制)の企業を見極めるポイントを3つお伝えします。

1. 「仕事=生活」になっているワンマン社長を避ける 特にベンチャー企業で注意すべきです。社長自身が24時間仕事に熱中している場合、その熱量を社員にも無意識に押し付ける傾向があります。「自分はこれだけやっているのだから、裁量労働の君たちも当然やるよね」という空気が蔓延している会社は、逃げ場のないブラック環境になりがちです。

2. 企業規模とコーポレートガバナンスの有無 裁量労働制でも比較的安全なのは、大手企業です。大手はコーポレートガバナンス(企業統治)やコンプライアンス窓口が機能しているため、直属の上司が理不尽な強要をしてきても、さらに上層部や人事へ配置換えなどの対応を依頼できる「仕組み」があります。社長直下のワンマンベンチャーには、この自浄作用がありません。

3. 面接で「ミーティングの頻度と文化」を必ず確認する 裁量労働制の最大の敵は「他者が設定する会議」です。どれだけ自分のタスクを早く終わらせても、夕方や夜にミーティングがあれば帰れません。面接やカジュアル面談では「1日のうち、どれくらい会議に時間を使っていますか?」「非同期のテキストコミュニケーション中心ですか?」と必ず現場の社員にヒアリングしてください。

おわりに:AI時代の働き方と、PMになった私の結論

現在はGitHub Copilotをはじめとする生成AIの登場により、PG(プログラマー)やSEのコーディングスピードは劇的に向上しています。AIを駆使して圧倒的な速度でタスクを消化できるのであれば、裁量労働制の「早く終われば早く帰れる」という本来のメリットを享受しやすくなっているのは事実です。

しかし、PMとしてプロジェクト全体を俯瞰する立場になった今、私はあえてこう言いたいです。

「よっぽど優秀な天才か、タスク管理が完璧な組織でない限り、普通に働いてきっちり残業代をもらった方が合理的である」と。

クリエイティブな仕事だからこそ時間をかけて品質を高めたい時、裁量労働制だと「これ以上時間をかけるとコスト(残業代)で会社に申し訳ない」という負い目を感じる必要がない、という意見もあります。しかし、それは本来、適切な見積もりとリソース管理を行うマネジメント側の責任です。

制度という「名前」に騙されないでください。本当に大切なのは、あなた自身のスキルと時間が正当に評価され、健全に働ける「組織の仕組み」がそこにあるかどうかです。

もし今、あなたが名ばかりの裁量労働制で搾取され、毎日遅くまで残業しているのなら、その環境は決して「普通」ではありません。私の過去の経験が、あなたの働き方を見直し、自由な生活へ一歩踏み出すための道標になれば幸いです。

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