「ゴォーッ」というジェットエンジンの轟音がふっと消えた瞬間、狭いエコノミークラスの座席が、私だけの「静寂な書斎」に変わりました。
日本からベトナムへのフライトは約7時間。 バッテリーが劣化し、Lightningケーブルという「レガシー資産」を抱えた初代AirPods Proから、ついに「AirPods Pro 3」へ乗り換えました。
結論から言えば、これは単なるイヤホンではありません。移動のストレスを物理的に遮断する「空間制御デバイス」です。 エンジニア視点でその合理的なメリットを解説するとともに、実際に機内で使ってみて判明した「たった一つの致命的な弱点」についても、正直にレビューします。
まだLightning?エンジニアが「Pro 3」へ即乗り換えた理由
私が以前の環境(過酷な労働環境)から抜け出し、現在の自由なワークスタイルを目指す過程で学んだのは、「ツールへの投資は惜しまない」という原則です。 初代も名機でしたが、今回買い替えを決断させたのは、音質云々以前の「物理的な合理性」でした。
1. USB-Cへの完全移行による「ケーブル一本化」
最大の理由は、充電ポートがLightningからUSB-Cへ変更されたことです。 MacBook、iPad、iPhone 15以降。身の回りのデバイスがUSB-Cに統一されていく中、イヤホンのためだけにLightningケーブルを持ち歩くのは、荷物管理(リソース管理)の観点から非効率極まりありませんでした。
「ケーブルを1本減らせる」。このシンプルな物理的メリットは、移動の多い生活において精神的な身軽さに直結します。
2. バッテリー劣化という「ダウンタイム」の解消
数年使い倒した初代は、ノイキャンONで2時間程度しか持たなくなっていました。ベトナムまでのフライト(約7時間)では、途中で必ず充電ケースに戻す「ダウンタイム」が発生します。 映画の良いところで充電切れ警告が鳴るストレスは、集中力を著しく削ぎます。この問題をハードウェア更新で解決する必要がありました。
飛行機が「書斎」になる。圧倒的なノイズキャンセリング体験
実際にAirPods Pro 3を装着し、成田からハノイへ飛びました。 機内に入った瞬間の騒音。これがどこまで消えるのかが最大の検証ポイントです。

ほぼ「無音」に近い静寂
装着してノイズキャンセリングをONにした瞬間、周囲の空間が切り取られたような感覚に陥りました。初代とは明確にレベルが違います。
- 低音域(エンジン音): ほぼ完全にカット。遠くで空調が鳴っている程度。
- 中高音域(人の話し声): 初代では取り切れなかったCAさんの声や、近くの席の会話も、かなり遠くへ追いやられます。
機内でPCを開いて作業をする際、この静寂は凄まじい集中力を生み出します。ブラック企業時代、騒がしいオフィスで集中するために必死で耳栓をしていた頃を思い出しましたが、テクノロジーの進化はあの頃の努力を過去のものにしました。
「アイマスク」との組み合わせで得られる熟睡
移動中にしっかり休むことも重要なタスクです。私は今回、遮光性の高いアイマスクを併用しました。
視覚情報の遮断(アイマスク) × 聴覚情報の遮断(AirPods Pro 3)
この組み合わせは強力です。五感のうち二つを制御することで、機内でも泥のように眠ることができました。起きたときには既にベトナム上空。移動の疲れを最小限に抑えるための、現代の最適解の一つです。
【注意】窓側の席で判明した、Pro 3の意外な「物理的弱点」
完璧に見えるノイズキャンセリングですが、一つだけ無視できない挙動を確認しました。 機内で窓側の席に座り、壁(窓枠付近)に頭を預けて寝ようとしたときのことです。
イヤホン本体が壁に触れるか触れないかの距離になると、「ボボボボ」という不快な低周波の異音が発生しました。
推測ですが、これは以下の理由による誤作動だと思われます。
- 機体の微細な振動を筐体が直接拾ってしまう。
- 壁との距離が近すぎて外部マイクが反響音を誤検知し、アンチノイズの生成計算(逆位相の音)にバグが生じる。
物理的に何かに接触している状態では、本来の性能が出せないようです。 壁に寄りかかって寝る癖がある方は、ネックピローを挟んで「イヤホンを壁から浮かせる」工夫が必須です。これはスペック表には載っていない、現場でしか分からない注意点でした。
2026年の新機能:エンジニア視点で見る「ライブ翻訳」と「ヘルスケア」
音質以外の機能についても、エンジニア視点でそのポテンシャルに触れておきます。
言語の壁を下げる「ライブ翻訳機能」への期待
ベトナム語は声調(トーン)が6つもあり、日本人にとって発音・聞き取り共に難易度が非常に高い言語です。 今回のモデルには「ライブ翻訳」機能が搭載されており、会話をリアルタイムで翻訳して耳元に届けてくれる仕様になっています。
まだ複雑な現地会話で使い倒せてはいませんが、エンジニアとしてはこの「リアルタイム処理」にワクワクしています。 「通訳」が常に耳元にいるという安心感。これがあるだけで、ローカルな食堂や市場へ飛び込む心理的なハードルが下がります。トラブル時のバックアップとして、非常に心強い機能です。
リスクヘッジの思考:なぜ「アナログ耳栓」も持つのか
7時間フライトでの実力
バッテリー持ちは優秀で、ハノイ到着時点でまだ余裕がありました。 初代のように途中でケースに戻す必要がなく、映画を観て、音楽を聴き、そのまま現地到着まで装着し続けられます。
【重要】システム障害に備える「冗長化」
しかし、ITシステムにおいて「単一障害点(SPOF)」を避けるのは鉄則です。 AirPods Pro 3はバッテリーが切れれば、ただの耳栓としても機能しません(遮音性は低いため)。
- 長時間の乗り継ぎで充電できない状況
- 予期せぬ故障や紛失
こうした「システムダウン」のリスクを考慮し、私は必ず「アナログの耳栓」も予備として持参しています。 数千円の投資で、バッテリー切れ時のバックアップが取れるのですから、持たない手はありません。
AirPods Pro 3があるのに、なぜ私は「数千円の耳栓」をベトナムへ持っていったのか?元エンジニアの結論
まとめ:AirPods Pro 3への投資価値
結論として、AirPods Pro 3は価格以上のリターンをもたらします。
- 飛行機の騒音を消し去り、移動時間を生産的な時間に変える。
- USB-C統一により、持ち物をミニマルに最適化できる。
- ライブ翻訳等の新機能が、海外での挑戦を後押ししてくれる。
「壁に触れると異音がする」という弱点はありますが、それを差し引いても、この静寂と快適さは移動の多い生活には不可欠です。
もし、初代AirPods Proを使っていて「バッテリーが持たない」「ケーブルが邪魔」と感じているなら、そのストレスは数万円で解決できます。自由な生活への投資として、間違いなく正解の一つです。
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