ダナンのホテルで目覚めた朝、私は青ざめました。
枕元にあるはずのMacBook Proのバッテリー残量が、昨晩と変わらず「5%」のままだったからです。
視線を床に落とすと、そこにはコンセントから自重で抜け落ちた、巨大な100W充電器が転がっていました。
「重すぎる充電器は、海外の緩いコンセントでは役に立たない」
その事実を突きつけられた瞬間でした。
これを機に私は、「大は小を兼ねる」という思考を捨てました。
今回は、MacBook Pro、iPad Pro、iPhone 16 Proという「Pro機材3台」を持ち歩く現役エンジニアの私が、あえて出力の低い「Anker Prime Wall Charger (67W, 3 ports, GaN)」をメイン機に選んだ理由を、実体験と数値データの両面から解説します。
なぜエンジニアは「100W」を卒業したのか
私たちガジェット好きは、つい「高出力=正義」と考えがちです。しかし、移動の多い生活において、その正義は時に「足かせ」になります。
ベトナムの「コンセント事情」と物理法則
ベトナムやタイなど東南アジアのカフェ・ホテルでは、コンセントの差込口が経年劣化でガバガバに緩んでいることが日常茶飯事です。
ここに200g〜300g級の重たい高出力アダプタを挿すとどうなるか。
「てこの原理」が働き、アダプタの重みでプラグが徐々に傾き、最終的には抜け落ちてしまいます。給電が止まるだけならまだしも、落下時の衝撃で故障するリスクさえあります。
対して、このAnker Prime (67W) は約144g。卵2.5個分程度の重さです。
この圧倒的な「軽さ」と、壁に張り付くような重心設計のおかげで、緩いコンセントでも吸い付くように安定します。
「充電器が落ちない」。
日本にいると当たり前に思えるこの安心感が、海外ノマドワークにおいては最強のスペックなのです。
MacBook Proに「67W」で足りるのか?
ここで技術的な疑問が生じます。「MacBook Proに67Wで足りるのか?」という点です。
結論から言えば、「運用次第で十分すぎるほど足りる」です。
実際の出力配分を検証(Power Allocation)
Anker Prime (67W) のポート仕様は以下のようになっています。私はこの仕様を頭に入れた上で、3台のProデバイスをパズルのように管理しています。
| 使用ポート数 | 出力配分例 (W) | 私の接続パターン |
| 1ポート利用 | 67W MAX | MacBook Pro 単独充電(作業中・急速) |
| 2ポート利用 | 45W + 20W | MacBook Pro (作業) + iPhone 16 Pro (急速) |
| 3ポート利用 | 40W + 12W + 12W | MacBook Pro (維持) + iPhone + Apple Watch |
※2026年時点の最新仕様および実測に基づく
動画の書き出し(レンダリング)をしながら3ポート全てを使うと、さすがにMacBook Proへの給電(40W)は心許なくなります。
しかし、一般的なコーディングやドキュメント作成であれば、40W〜45Wあればバッテリーは減りません。
「移動中は2ポートでPCとスマホを回復させ、ホテルに着いたら1ポートでPCをフル充電する」
このサイクルさえ守れば、重たい純正アダプタを持ち歩く必要はなくなります。
「Type-A」はまだ捨てられない
最新のiPhone 16シリーズもUSB-Cですが、私はあえて「Type-Aポート」が1つ残っているこのモデルを推します。
理由は「非常時の逃げ道」だからです。
Apple Watch充電のボトルネック解消
カフェで作業中、MacBookとiPadで2つのType-Cポートが埋まってしまったとします。その時、Apple Watchの電池が切れそうになったら?
「全てType-C」の充電器だと、PCかiPadのどちらかを抜く必要があります。
しかし、この充電器なら「空いているType-Aポート」に、Type-A変換したApple Watch充電器を挿すことで、全デバイスを同時にケアできます。
効率を追求するエンジニアだからこそ、この「レガシーポートの有効活用」による排他制御回避には、合理的な美しさを感じます。
まとめ:スペック表より「現場のリアル」を信じる
もしあなたが、スペック表の「100W」という数字に惹かれて、重たい充電器をカートに入れようとしているなら、一度立ち止まって考えてみてください。
- その充電器は、緩んだコンセントから抜け落ちませんか?
- その重さは、あなたの移動の自由を奪いませんか?
私は、ベトナムでの失敗を経て、このAnker Prime (67W) に辿り着きました。
「iPhone 16 Pro、MacBook Pro、iPad Pro」という最高の機材を、どこへでも軽やかに持ち出し、どんな環境でも確実に電源を確保する。
この「信頼性」こそが、私がこの充電器を選んだ理由です。
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