真っ暗な浴室で、私はスマートフォンのライトを頼りに、ぬるいシャワーを浴びていた――。
時刻は深夜2時。仕事帰りの飲み会から戻り、翌朝6時の起床に備えて汗を流していた矢先のことです。絶望的な暗闇の中、唯一の救いは、かつてブラック企業で「終わらない深夜残業」に耐えてきたことで培われた、少々のトラブルでは動じないメンタルだけでした。
今回は、私がホーチミンで通算1ヶ月以上を過ごし、酸いも甘いも(そして闇も)噛み分けた「ロータス サイゴン ホテル(Lotus Saigon Hotel)」の真実を綴ります。
2026年最新:1泊1万円の価値はあるか?高騰するホーチミンの宿泊費
2026年現在、ベトナムの物価上昇と円安の波は、確実に宿泊料金を押し上げています。
- 2025年8月: 約8,000円
- 2026年1月: 約10,000円〜(テト前という時期要因もあり)
かつて「安くて良い宿」の代表格だったこのホテルも、ついに1万円の大台に乗りました。ITエンジニアとしてのシビアな目で見れば、「1万円出すなら完璧であってほしい」と思うのが本音でしょう。しかし、それでも私がここを選び続けるのには理由があります。
基本スペックとGoogle Map
住所:120 Cách Mạng Tháng Tám, Phường Võ Thị Sáu, Quận 3, Thành phố Hồ Chí Minh
ITエンジニアを襲った「3つの停電」とWi-Fiの真実
このホテルを語る上で避けて通れないのが、私が経験した計3回の停電です。
1回目:自室の限界に挑む
ヘアドライヤーを使用した瞬間にパチン。これは私の使いすぎが原因かもしれませんが、電力のキャパシティは決して余裕があるわけではなさそうです。
2回目:深夜の「闇シャワー」
冒頭のエピソードです。街全体の停電ではなく、ホテルの一部の系統が落ちたようでした。翌夕には復旧していましたが、フロントへ行く気力もない深夜、スマートフォンのライトだけが頼りでした。
3回目:全裸で迎えた静寂
これが最もインパクトがありました。お風呂に入っている最中に突然の暗転。廊下からは他のお客さんの叫び声。 「ああ、これは広範囲だな」 と全裸で冷静に分析する自分に、ベトナム生活の慣れを感じました。
エンジニア的な死活問題:Wi-Fiの復帰速度 停電そのものより困ったのは、電気が復旧した後もWi-Fiルーターが再起動し、安定するまでにかなりの時間を要したことです。 Altテキスト:ロータスサイゴンホテルのWi-Fi速度計測結果。通常時は作業に支障ないが、停電復旧後は不安定に。
仕事中にこれが起きたらアウトです。私は常にバックアップとしてeSIMでのテザリングを常備しています。
衝撃の出会いと、それを上回る「朝の幸福感」
ベッドの中から「こんにちは」
ある夜、掛け布団を整えようとマットレスの隙間に手を入れた瞬間、何かがカサカサと動きました。……そうです、立派なG(ゴキブリ)の襲来です。 ベッドメイクの際に入り込んでしまったのでしょう。これも「自由な生活」の代償、あるいはベトナムからの洗礼と受け流せるかどうかが、このホテルを楽しめるかどうかの分岐点です。
Altテキスト:ベトナムのコンビニで購入した強力な殺虫剤。滞在の必需品。
それでもリピートする、テラスの魔力
「悪いことだらけじゃないか」と思われるかもしれません。しかし、翌朝にテラス席で食べる朝食が、すべてを浄化してくれます。

朝の爽やかな空気の中で、種類豊富なビュッフェから選んだフォーを啜る。この瞬間のために、私は停電もGも許容して、ここに1ヶ月以上も居座ってしまったのです。
宿泊前に知っておくべき「地味に重要な」3つのポイント
- デポジット問題: チェックイン時に50万ドン(約3,000円)以上の現金を要求されます。空港から直行する場合、手持ちがないと焦ります。カード決済も可能ですが、返金確認が面倒なので現金推奨です。
- 騒音とアメニティ: 大通りに面しているため、朝はバイクのクラクションが容赦なく響きます。アメニティに最初から「耳栓」が入っているのは、ホテル側もそれを認識している証拠です。
- バスタブの有無: 同僚の部屋にはバスタブがなかったそうです。私は運良く毎回ありましたが、お風呂派の人はチェックイン時に確認が必須です。
まとめ:不自由を楽しむのが「自由生活」の醍醐味
ITエンジニアとして論理的・効率的に考えれば、停電するホテルなど避けるべきかもしれません。
しかし、かつてブラック企業の閉ざされたオフィスで、決まりきったトラブル対応に追われていた頃に比べれば、ホーチミンで起きる想定外のハプニングは、どこか刺激的で「生きている実感」を与えてくれます。
「ロータス サイゴン ホテル」は、完璧を求める人にはおすすめしません。 でも、多少のトラブルを笑い飛ばし、テラスで最高の朝食を味わいたい。そんな「遊び心」のある旅人には、これ以上なく居心地の良い場所になるはずです。
コメント