「今日の会議、結局何が決まったんだっけ?」
——そんなモヤモヤを抱えたまま会議室を出た経験、誰にでもあるのではないでしょうか。
システム開発の現場でPM(プロジェクトマネージャー)を経験してきた私にとって、会議の進行は避けて通れないテーマでした。要件定義のミーティングが雑談で終わり、結論が出ないまま「また今度話しましょう」で解散する。そんな場面を何度も見てきましたし、正直、自分が進行役のときも同じ失敗をしていました。
そんなとき手に取ったのが『マンガでやさしくわかるファシリテーション』です。ストーリー仕立てで一気に読めて、しかも仕事の会議のモヤモヤに直接効く内容だったので、今回はこの本を実際に読んで感じたことを紹介します。
『マンガでやさしくわかるファシリテーション』とは? 基本情報と内容
- 著者:谷益美(解説)/円茂竹縄(作画)
- 出版社:日本能率協会マネジメントセンター(JMAM)
- 価格:単行本1,650円(税込)/Kindle版1,155円(税込、30%OFFキャンペーン中、※2026年8月時点)
- 内容:地方のメーカー代理店に出向した若手社員が主人公。現場のメンバーは立場もタイプもバラバラで、うまく会議を回そうとしてもよそ者扱いされてしまう中、ファシリテーション講師の教えを受けながら「メンバーのやる気を引き出す」「ミーティングを活性化させる」進行役へと成長していくストーリー
要するに、「会議を回せない若手」が主人公という設定そのものが、多くの読者の悩みと重なる作りになっている一冊です。マンガパートとベストセラー著者による解説パートが交互に構成されている、いわゆる「サンドイッチ形式」なのも特徴です。
PM視点で見るメリット
1. マンガ形式だから概念がスラスラ頭に入った
これが一番の収穫でした。ファシリテーションの本というと、フレームワークや用語がずらりと並ぶ文字中心の解説書をイメージする人も多いと思います。実際、過去にプロジェクトマネジメントの専門書を読んだときは、概念は理解できても頭の中で「実際の会議でどう動くか」に変換するまでに時間がかかりました。
その点この本は、主人公が会議で失敗し、講師にアドバイスをもらい、次の会議で試してみる、という一連の流れがマンガで描かれるため、「概念→行動」の変換をあらかじめ本の中でやってくれています。エンジニアで言うなら、仕様書だけを渡されるより、実際に動くサンプルコードを見せてもらう方が理解が早いのと同じ感覚です。
2. 「会議が雑談で終わる」原因が言語化された
私が長年モヤモヤしていた「会議が雑談で結論が出ない」という現象には、ちゃんと構造的な原因があることがこの本で腑に落ちました。話す人と話さない人が固定化してしまうこと、そもそも会議のゴールが参加者全員に共有されていないこと。当たり前のようで、実際の現場ではほとんど言語化されないまま放置されがちなポイントです。
「なんとなく話しやすい人が進行する」のではなく、ゴール設定と場の作り方という具体的なスキルの積み重ねだと分かっただけでも、次の会議への向き合い方が変わりました。
3. PM経験と重なる部分が多く、自分の失敗を客観視できた
主人公がよそ者扱いされながらも少しずつ信頼を得ていく過程は、プロジェクトの立ち上げ期に外部の立場でチームに入っていくPMの状況とよく似ています。マンガの中の失敗パターンに、過去の自分の会議進行を重ねながら読めたので、「あのとき自分はここでつまずいていたのか」と、当事者としてではなく一歩引いた視点で振り返ることができました。
正直に語るデメリットと注意点
良い面ばかり語るのは誠実ではありません。正直に言うと、この本は入門レベルの内容が中心なので、対立が激しい会議の収め方や、大人数を巻き込む高度なワークショップ設計といった、実践的な上級テクニックまでは深く踏み込んでいません。
ストーリーとしての読みやすさを優先している分、「明日の会議で使えるテンプレート集」のような実務直結のツール本を求めている人には、やや物足りなく感じる可能性があります。あくまで「ファシリテーションとは何か」「なぜ必要か」を体感的につかむための最初の一冊、という位置づけで手に取るのがおすすめです。
【Tips】読んだ知識を「会議が雑談で終わる問題」に活かすなら
本を読んで終わりにせず、次の会議で意識してみようと思ったポイントを整理しておきます。
【次の会議で意識したいこと】
- 会議のゴールを最初に1行で共有し、「何が決まれば終わりか」を全員で揃える
- 発言が一部の人に偏っていると感じたら、名指しではなく全体に問いかけを投げる
- 会議の最後に「今日決まったこと」を口頭で確認してから解散する
どれも特別な準備がいらない小さな工夫ですが、雑談で終わりがちだった自分の会議進行を振り返ると、これまで抜け落ちていた視点だと感じました。
まとめ:1,000円台で会議の見え方が変わる投資
『マンガでやさしくわかるファシリテーション』は、ファシリテーションを体系的に極めるための専門書というより、「なぜ自分の会議は雑談で終わるのか」に最初に気づかせてくれる入り口の一冊です。
単行本で1,650円、Kindle版なら1,155円(※2026年8月時点、30%OFFキャンペーン中)という価格を考えると、次の会議から進行の仕方を見直すきっかけになるだけで十分に元が取れる投資だと感じました。会議のモヤモヤに心当たりがある方は、気軽に読んでみてほしい一冊です。

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