ホーチミンのテトで訪れたローカル食堂、量に驚いた本場の一皿

「郷土料理」を看板に掲げる店ほど、実は観光客向けに味を丸くしていることが多いのではないでしょうか。長くベトナムに関わってきた身としては、そういう店で肩透かしを食らった経験が何度もあります。ただ今回、友人・同僚数人でテトのシーズンに訪れたホーチミンのローカル食堂「Ẩm Thực Quê Nhà(アム・トゥック・クエ・ニャー=直訳すると「ふるさとの家庭料理」)」は、味もボリュームも完全に本場仕様でした。運ばれてくる皿の量に何度も驚かされた、その夜の記録です。

目次

華やかなテトの飾り付けに出迎えられる入り口

店の入り口に着いて、まず目を引いたのが階段の両脇を飾る爆竹モチーフの装飾と、紅白の対聯(ついれん)、色とりどりのランタンです。梅や桃の花を模した造花もあしらわれていて、テト(旧正月)シーズンならではの華やかさに一気に気分が上がりました。「Ẩm Thực Quê Nhà」という店名を大きなネオン看板が照らし、階段を上がった先には信号機を模したオブジェまで置かれています。ローカル感の強い店構えでしたが、装飾の凝りようからも地元での人気ぶりがうかがえました。

華やかなテトの飾り付けに出迎えられる入り口

一皿目でわかった「これは日本の感覚では頼めない量」問題

最初に運ばれてきたのが、熱々の鉄板に盛られたグリルビーフでした。分厚い木製の台に鉄板が固定されたスタイルで、肉の間にはトウモロコシが3本、青い実山椒のような粒がアクセントに散らされています。テーブルに置かれた瞬間、ジュージューという音と香ばしい匂いが立ち上りました。

驚いたのは肉の量です。一皿にぎっしりと敷き詰められた牛肉は、大人数人での取り分けを前提にした量で、日本の焼肉店で同じ品数を頼むとかなりの金額になりそうな見た目でした。エンジニア視点で言えば、想定アクセス数を大きく超えたリクエストにも耐えられるよう、あらかじめ余裕を持たせてスケールしてある設計、といった印象です。付け合わせの醤油だれとハーブソースをつけながら食べると、肉自体の味も濃く、タレに頼らなくても十分に満足できる仕上がりでした。

一皿にぎっしりと敷き詰められた牛肉

レモングラスの香りが立つ二枚貝の土鍋

次に登場したのが、黒い土鍋に入った二枚貝の一品です。レモングラスの茎とバジルらしき葉がたっぷりと入れられ、蓋を開けた瞬間に香草の香りがふわっと広がりました。スープは貝の出汁がしっかり出ていて、澄んだ色ながら旨味は濃厚です。

貝殻を開けながらひとつずつ食べ進める食べ方は、ベトナムのローカル食堂らしい賑やかさがあります。取り皿に汁ごとよそって、レモングラスの香りごと楽しむのがこの一品の正解だと感じました。派手さはありませんが、他の皿がボリューム勝負な分、このさっぱりとした一皿が箸休めとしてちょうど良いバランスを作ってくれていました。

土鍋

ベトナム版「ピザ」? 海鮮とチーズがのった薄焼き一品

続いて出てきたのが、丸く薄く焼き上げたライスペーパーの上に、卵、チーズ、海老、青ねぎ、辛味ソース、マヨネーズがたっぷりのった一品です。ピザのように放射状にカットされていて、見た目のインパクトも十分でした。これは現地で「バインチャンヌン」と呼ばれる屋台グルメで、その見た目から「ベトナム風ピザ」とも呼ばれています。

パリパリに焼き上げたライスペーパーの食感と、とろけたチーズ、プリプリの海老の組み合わせは、想像していたより食べ応えがありました。辛味ソースの量が地元仕様でしっかり効いていて、いわゆる観光客向けに甘さを強調したテイストではなく、本場の味付けに寄せてあるのが印象的でした。

ベトナム版「ピザ」

締めの海鮮チャーハンと、テーブルに残った量

最後に運ばれてきたのが、海老や貝柱が入った海鮮チャーハンです。パラパラに炒め上げられたご飯の上にフライドエシャロットが散らされ、周りにはキュウリとトマトのスライス、パクチーが添えられていました。見た目こそシンプルですが、それまでの品数の多さもあって、このチャーハンにたどり着く頃にはテーブル全体がかなりの満腹感に包まれていました。

正確な会計金額までは記憶していませんが、鉄板グリルビーフ、貝の土鍋、バインチャンヌン、海鮮チャーハンという品数と量を考えると、割高な印象はまったくありませんでした。むしろ、これだけの量を友人・同僚数人でシェアしても十分に満足できる、コストパフォーマンスの高い食事だったという感覚だけは、はっきりと覚えています。

海鮮チャーハン

【Tips】テトのローカル食堂を訪れるときに気づいたこと

観光客向けではないローカル色の強い店だからこそ、事前に知っておくと安心なポイントをまとめておきます。

実際に行って気づいたこと

  • 一皿ごとの量がとにかく多いので、3〜4人以上のグループで数品をシェアする前提で頼むとちょうど良い
  • テトシーズンは装飾が華やかな分、地元客で賑わいやすい時期でもあるので、大人数で行くなら早めの時間帯がおすすめ
  • 英語メニューが無い、または簡素な店も多いので、料理名の写真を撮っておいて翻訳アプリで確認できるようにしておくと注文がスムーズ
  • ローカル色の強い食堂は現金払いが基本になりやすいので、多めに現金を用意しておくと安心

店舗情報・アクセス

  • 店舗名: Ẩm Thực Quê Nhà (Phạm Ngọc Thạch店)
  • 住所: 28 Phạm Ngọc Thạch, Phường Võ Thị Sáu, Quận 3, Thành phố Hồ Chí Minh
  • 電話番号: 0938.22.61.66
  • ※住所・電話番号は2026年8月時点で公式サイトに掲載の情報です。行政区画の名称変更などで表記が変わる場合があるため、訪問前に最新情報のご確認をおすすめします。
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