汁なし麺?ホーチミン「ミークアン3兄弟」で味わう中部の一杯

ベトナム料理と聞いて、多くの人がまず思い浮かべるのは「フォー」ではないでしょうか。透明感のあるスープに、あっさりした米麺。私自身もベトナムに関わって長いですが、いまだにあのスープの優しさには惹かれます。

ただ、今回は友人・同僚と訪れたホーチミン3区の一軒で、そのイメージを裏切る一杯に出会いました。丼を覗き込んでまず気づいたのは、「スープがほとんど無い」ということ。看板には大きく「ミークアン(Mì Quảng)」の文字。中部ベトナムを代表するこの麺を、ホーチミンの街中で食べた記録です。

目次

フォーとは別物?「ミークアン」というジャンル

ミークアンは、ベトナム中部のクアンナム(Quảng Nam)省が発祥の郷土料理です。ホイアンやダナンといった街の名物として知られていて、以前このブログでも紹介した「カオラウ」と同じく、中部のご当地麺の一つにあたります。

最大の特徴は、フォーのようにたっぷりのスープに浸すのではなく、麺にターメリック色の濃いタレを絡める程度でとどめている点です。汁物というより、和え麺に近い食べ方をします。かつてダナンに滞在していた時期に、この「汁が少ない」スタイルに最初は戸惑った記憶がありますが、慣れるとタレの濃度がそのまま旨味の濃度になっていることに気づきます。南部のホーチミンでは、フォーやブンほど気軽には出会えない麺なので、看板を見た瞬間に「これは食べておきたい」と思いました。

3区の大通り沿いに立つ「ミークアン 3兄弟」

訪れたのは、3区の大通り「Cách Mạng Tháng Tám」沿いにある「Mì Quảng 3 Anh Em(ミークアン3兄弟)」というお店です。隣にはアイスクリーム店「Cà-Rem」が並び、バイクがずらりと停まった賑やかな一角。看板には「Đậm Đà Hương Vị Quảng(濃厚なクアンの味わい)」というキャッチコピーとともに、宅配用のホットラインと自社サイトのURLが大きく書かれていました。

後から調べたところ、この店はホーチミン市内にビンタン区・タンビン区・3区と3店舗を展開しているチェーンで、店名の「3 Anh Em(3兄弟)」もそこから来ているようです。ローカルの一軒食堂かと思いきや、複数店舗を回せる仕組みを持っている時点で、それなりに支持されている証拠だと感じました。

ミークアン 3兄弟

実食:「Thịt Trứng Cút(豚肉とうずらの卵)」40,000ドン

注文したのは、豚肉とうずらの卵がのった「Mì Quảng Thịt Trứng Cút」。価格は40,000ドン程度(2026年8月時点、日本円で200円台前半〜半ば、レートにより変動)と、ローカル価格帯です。

Thịt Trứng Cút(豚肉とうずらの卵)

丼を見て最初に感じたのは、写真で見ていた通り「本当に汁が少ない」ということ。麺の下にターメリック色の濃いタレがわずかに溜まっているだけで、いわゆるスープ麺の見た目ではありません。その上に、薄切りの豚肉と、殻をむいたうずらの卵が5個ほど、さらに刻んだ小ねぎと砕いたピーナッツが散らされています。

Thịt Trứng Cút(豚肉とうずらの卵)アップ

添えられていたのは、ミント系のハーブと千切りにした野菜がたっぷりのった皿、バナナの葉に包まれたパリパリのライスクラッカー、そしてライムと青唐辛子。ミークアンの定番の食べ方は、このハーブとクラッカーを砕いて麺に混ぜ込み、ライムを搾ってから全体を和えるというものです。麺自体はうどんよりやや細めながらしっかりコシがあり、少量のタレでも米麺にちゃんと味が絡みます。エンジニア的に言えば、大量のスープという「冗長なリソース」を使わずに、少ないタレの濃度だけで満足感を出す、ある意味効率の良い設計だと感じました。

創業者のこだわりに見る「クアン仕込み」の理由

お店のウェブサイトを見ると、創業者はクアン地方の出身で、「本物のクアン風には、特別な米を使った手作りの二層麺、ピーナッツ油、ディエンバン地方の青唐辛子、炭火焼きのライスクラッカーが欠かせない」とこだわりを語っていました。さらに「クアン出身のシェフとスタッフがいてこそ、完璧な一杯になる」とも述べていて、材料だけでなく作り手までクアン仕込みにこだわっている様子がうかがえます。

メニュー表を見ると、今回頼んだ豚肉とうずらの卵以外にも、エビとカニ入り、骨を抜いた闘鶏肉入り、さらにはウナギを使った一杯まで揃っていました。海鮮や辛いものが苦手な人には、今回のようなシンプルな豚肉とうずらの卵の組み合わせが一番ハードルが低いはずです。

【Tips】ミークアン3兄弟を訪れる前に知っておきたいこと

友人・同僚と一緒に訪れて分かった、次に行く人向けのポイントをまとめておきます。

実際に行って気づいたこと

  • スープがほとんど無いので、熱々のフォーやブンを想像していくと拍子抜けする。あくまで「和え麺」として楽しむ料理
  • メニューが多彩(豚肉・エビ蟹・闘鶏肉・ウナギなど)なので、海鮮や辛いものが苦手なら「Thịt Trứng Cút」が無難
  • ホーチミン市内にビンタン区・タンビン区・3区と3店舗あるので、滞在エリアに近い店舗を選べる
  • 看板にホットラインと専用サイトが載っており、宅配(giao hàng tận nơi)にも対応している
  • 3区周辺は2025年の行政区画再編でエリア名が変わっているため、地図アプリでは新旧どちらの名称でも検索してみるとスムーズ

店舗情報・アクセス

  • 店舗名: Mì Quảng 3 Anh Em(3区店)
  • 住所: 193 Cách Mạng Tháng Tám, Phường Bàn Cờ, Thành phố Hồ Chí Minh(旧表記:Phường 4, Quận 3)
  • ホットライン: 0933 039 117(店頭看板に記載。ウェブサイト上の3区店番号とは末尾が異なる場合があるため、事前にご確認ください)
  • ウェブサイト: miquang3anhem.com
  • 価格帯: 目安30,000〜75,000ドン程度(メニューにより変動)
  • ※住所・行政区画名・価格帯は2026年8月時点でネット上に掲載されていた情報です。行政区画の名称変更などで表記が変わる場合があるため、訪問前に最新情報のご確認をおすすめします。
よかったらシェアしてね!
  • URLをコピーしました!
  • URLをコピーしました!

コメント

コメントする

目次