【続報】ベトナムの電子タバコ規制、罰金引き上げと「禁煙世代」法案の最新動向

以前このブログでも、ベトナムの電子タバコ・加熱式タバコ規制について「絶対に持ち込まない方がいい」と繰り返し書いてきました。ただ、この手の規制は一度書いたら終わりではなく、システムの仕様変更のように、こちらが把握していないところで次々とアップデートされていきます。2026年に入ってからも、罰金の引き上げや、さらに踏み込んだ新しい法改正案の動きがありました。今回は「その後どうなったのか」を、続報としてまとめておきます。

目次

2026年5月15日施行、罰金がさらに引き上げられた

まず押さえておきたいのが、政令第90/2026/ND-CP号による罰則の強化です。2026年5月15日から施行されたこの政令により、電子タバコ・加熱式タバコに関する罰金は以下のように定められました。

  • 個人が使用した場合:300万〜500万ドン(約1万8,000〜3万円)
  • 自分が所有・管理する場所で他人に使用させた場合:500万〜1,000万ドン(約3万〜6万円)※ただし使用者が祖父母・親・子・孫・兄弟姉妹・配偶者の場合は例外
  • 禁煙区域での喫煙:20万〜50万ドン

以前の記事執筆時点でもすでに厳しい罰則でしたが、明確に「引き上げ」という形で強化された点は見逃せません。しかも、この罰則はベトナム在住者だけでなく、旅行者にも等しく適用されます。「知らなかった」「短期滞在だから」という言い訳は、システムの例外処理として通用しないのと同じで、現地では一切考慮されません(政令第90/2026/NĐ-CP号第26条、2026年5月15日施行)。

トランジットだけでも例外なし。タンソンニャット空港で実際に起きたトラブル

さらに注意したいのが、入国せずベトナムを経由するだけのトランジット(乗り継ぎ)旅行者にも、リスクが及んでいるという事実です。

在ホーチミン日本国総領事館が2026年5月20日に発表した情報(VIETJOベトナムニュース、2026年5月21日配信)によれば、タンソンニャット国際空港を第三国への乗り継ぎのみで利用した日本人旅行者が、預け入れ荷物に入れていた電子タバコをめぐり空港職員とトラブルになった事例が報告されています。同総領事館は、トランジットのみでベトナムに入国しない場合であっても、電子タバコ・加熱式タバコを持ち込まないよう注意を呼びかけています。ベトナムに入国する予定がなくても、空港を経由する時点で規制(没収や罰則など)の対象となります。

これは、私が以前の記事で紹介した「保安検査場前での自主放棄」の話とも通じます。日本を出発する時点で対策を取っていても、経由地であるベトナムの空港でもう一段階リスクが存在すると考えておいた方が安全です。特に、ベトナム経由でヨーロッパやオーストラリア方面へ向かう便を使う方は、「自分は入国しないから関係ない」と油断しないよう注意してください。

さらに先の話:2026年10月国会提出予定の「禁煙世代」法案

そして今回、個人的に一番驚いたのが、2026年5月22日の世界禁煙デー関連ワークショップでベトナム保健省が提示した、より踏み込んだ法改正案です。

保健省が示した改正案の柱は大きく2つです。1つは、電子タバコ・加熱式タバコをはじめとする次世代ニコチン製品の製造・販売・輸送・広告・宣伝・使用を包括的に禁止すること。もう1つは、卸売・小売店でのタバコ製品の陳列自体を禁止することです。この一括改正案については、政府が第16期国会の「第2回(通常)会期」に提出する準備を進めている段階にあります。

なお、ベトナム国会は2026年8月にも会期を開いていますが、これは「臨時会期(不定期会期)」として関税法や投資法など別のテーマを扱ったもので、今回のタバコ規制改正案が予定されている「第2回通常会期」とは別物です。この第2回通常会期は、第1日程が2026年10月20日〜11月13日(約20日間)、第2日程が11月25日〜12月5日(約10日間)の2回に分けて開催され、合計約30日間の日程で36本の法律・決議案が審議される見通しであることが、ベトナムの公共放送VOV(ベトナムの声)の報道をもとに複数の現地メディアで伝えられています(2026年5月11日時点の報道)。

さらに保健省は、これに加えて**「2010年1月1日以降に生まれた人は、生涯にわたってタバコ製品の購入・使用を禁止する」**という、いわゆる「禁煙世代(smoke-free generation)」政策の導入も政府に提案しています。ただし、この2010年基準の扱いはまだ確定しておらず、今回の改正に含めるか、それとも社会経済状況を踏まえて別の法制化のタイミングに回すかは、今後の判断に委ねられている段階です(2026年5月22日付VnExpress報道より)。

背景には、ベトナムに約1,580万人の成人喫煙者がおり、成人男性の約41%が喫煙者という現状、そしてタバコ関連疾患による年間推定10万人の死亡があります(同報道による2026年5月時点の保健省発表数値)。「禁煙世代」の是非自体はまだ議論の途上ですが、電子タバコ・加熱式タバコの規制強化と陳列禁止を含む一括改正案が国会に向けて動いている事実は変わらず、方向性としては「規制はこれで終わりではなく、むしろ強化され続ける」ことを示しています。

渡航者にとっての意味:規制が緩む未来は考えにくい

この「禁煙世代」法案は、主にベトナム国内の若年層の喫煙開始を防ぐことを目的にしたもので、外国人旅行者の電子タバコ持ち込みが直接この法案で新たに禁止されるわけではありません(すでに持ち込み・使用自体が全面禁止のため)。

ただ、エンジニアとして開発の現場にいた経験から言うと、一度厳格化の方向に進んだ「仕様」が、後から緩和される例はまず見たことがありません。罰金の引き上げ、トランジット客への適用拡大、そして次世代を丸ごと対象にする法案――ここ数ヶ月の流れを見る限り、ベトナムのタバコ規制は今後も強化される前提で行動しておくのが賢明です。

「去年は大丈夫だった」「知人はセーフだった」という過去の情報は、法改正のたびに賞味期限切れになります。

【Tips】渡航前に最新情報を確認する習慣をつける

渡航直前チェックのすすめ

  • 出発前に在ベトナム日本大使館・総領事館の公式サイトで最新の注意喚起を確認する
  • 「去年の情報」「知人の体験談」だけを頼りにせず、渡航月に近い情報を優先する
  • トランジットのみの利用でも、電子タバコ・加熱式タバコは事前に処分するか自宅に置いていく
  • 具体的な持ち込み対策や紙タバコへの切り替え方法は、以前の記事でまとめているのであわせて確認しておく

規制の中身そのものは以前の記事で詳しく解説した通りですが、ここで紹介した罰金引き上げやトランジット客への注意喚起、そして今後控えている法改正の動きは、そちらでは触れていない新しい情報です。

まとめ:情報のアップデートを止めないことが一番の対策

2026年に入ってから半年余りで、罰金の引き上げ、トランジット客のトラブル事例、そして次世代全体を対象にした法案検討と、ベトナムのタバコ規制は着実に一段階ずつ厳しくなっています。今後、国会での審議が進めば、また新しい情報が出てくるはずです。

せっかくの旅行や出張を台無しにしないためにも、「以前調べたから大丈夫」で止めず、渡航のたびに最新情報をアップデートする習慣をつけておくことをおすすめします。安心してベトナムでの時間を楽しむために、この続報が参考になれば幸いです。

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