ベトナムで麺といえばフォーが定番ですが、何度か通ううちに「今日はフォー以外の一杯が食べたい」と感じることがあるのではないでしょうか。南部ホーチミンでその選択肢の筆頭になるのが、米麺の「フーティウ(Hủ Tiếu)」です。
今回は、2026年9月のホーチミン出張中に訪れた、3区のフーティウ専門店「Nhân Quán Sài Gòn(ニャンクアン・サイゴン)」を紹介します。現地の感覚ではやや高めのお店ですが、エビに肉、山盛りの野菜まで一杯でそろう、満足度の高い一食でした。
ホーチミンのエリアや街歩きの下調べには、ガイドブックが1冊手元にあると何かと便利です。
ネオン看板が目印、CMT8通り沿いの老舗
お店があるのは、3区を貫く大通り「Cách Mạng Tháng Tám(通称CMT8)」沿い。夜に訪れると、赤・青・緑のネオンで「NHÂN QUÁN」「HỦ TIẾU NAM VANG」と書かれた看板が目に飛び込んできます。店先はオープンな造りで、赤い椅子が並ぶ店内は夜でも地元のお客さんでにぎわっていました。

公式サイトによると創業は1990年。30年以上続く老舗で、メニュー表のロゴにも「SINCE 1990」と入っています。店名にある「Nam Vang(ナムヴァン)」は、カンボジアの首都プノンペンのベトナム語名。プノンペンにルーツを持つスタイルのフーティウ、という意味です。
メニューは「麺×汁の有無」、価格は器のサイズで決まる
メニュー表はベトナム語と英語の併記で、とても分かりやすい構成です。
- 麺の種類:Hủ Tiếu(米麺)/Mì(卵麺)/Hủ Tiếu Mì(両方)
- 食べ方:Nước(スープ麺)/Khô(汁なし)
- サイズ:Tô Thường(普通)95,000ドン/Đặc Biệt(特別)130,000ドン
- 具:エビ、ハツ、レバー、豚肉、ひき肉、うずらの卵(「内臓なし」「エビと豚肉」「海鮮」の指定も可)

※価格は2026年9月時点の店内メニュー表記です。変更される場合があります。
料理ごとに値段が違うのではなく、器のサイズだけで価格が決まるのが面白いところ。システムで言えば、機能ではなく「リソース量」で課金するプランのようなもので、麺や食べ方を迷っても会計はシンプルです。

実食:汁なしフーティウ(Hủ Tiếu Khô)95,000ドン
私が選んだのは、米麺の汁なし「Hủ Tiếu Khô」を普通サイズで。丼には麺が見えないほど具がのっていて、大ぶりのエビ、薄切りの豚肉、ひき肉、そこにフライドエシャロットとパクチー、小ねぎがたっぷり散らされています。

食べる前に底からしっかり混ぜると、器の底のタレが麺全体に絡みます。フライドエシャロットの香ばしさとエビの甘みが合わさって、汁なしでも物足りなさはありません。
主役級の別添えスープと、山盛りの野菜
汁なしを頼むと、スープが小さな器で別添えになって出てきます。個人的には、この別添えスープがこの店で一番好きなポイントです。澄んだスープに刻んだパクチーと小ねぎが浮いていて、麺の合間にすすると口の中がすっとリセットされます。

そしてもう一つ驚くのが、野菜の量。春菊ともやしが皿からあふれそうなほど盛られてきます。これを麺に加えながら食べていくと、見た目以上に結構なボリュームになり、普通サイズでも十分お腹いっぱいになりました。肉・エビ・野菜がこの一杯でバランスよく取れるのは、外食が続きがちな出張中には本当にありがたいところです。

ニンニクを大量投入するのが私の食べ方
ライムと青唐辛子も添えられているので、味の調整は自由自在。そのうえで私がやるのが、卓上のニンニクを大量に入れることです。
この店のニンニクには「みじん切り」と「スライス」の2種類があるのですが、1つのテーブルに置かれているのはどちらか一方だけ。私のおすすめはみじん切り。細かい分だけ麺とよく絡み合って、どこを食べてもニンニクの風味を楽しめます。好みの方を使いたいなら、席を選ぶ時点でテーブルの上をチェックしておくのがコツです。座ってから気づいた場合は、店員さんに交換してもらうか、お隣のテーブルから少しお借りすることになります。ニンニクの刺激が加わると、優しい味わいの麺とスープに一本芯が通ったような、パンチのある一杯に変わります。翌日に人と会う予定がない夜にこそ、遠慮なく入れたいところです。
正直に言うと、ローカル基準では「高い店」
ひとつ気になるのは価格です。ホーチミンの街中では、麺一杯が数万ドン台で食べられる店も珍しくありません。その感覚からすると、普通サイズで95,000ドン(日本円で500円台半ば、2026年9月時点のレート目安)は、現地の人にとっては明らかにお高めの部類です。
ただ、日本のラーメン一杯の値段と比べれば半額以下。エビも肉も野菜もしっかり入ってこの価格なら、日本から来た身としては十分に安いと感じます。「ローカル最安値」を求める店ではなく、「ちゃんとした一杯を安心して食べる店」と考えるのがちょうどいいと思います。
【Tips】Nhân Quán Sài Gònに行く前に知っておきたいこと
実際に行って分かったこと
- 迷ったら「汁なし(Khô)」がおすすめ。スープは別添えで付いてくるので、汁なしと汁ありの両方を楽しめる
- 野菜の量が多いので、普通サイズ(Tô Thường)でも満腹になりやすい。まずは95Kから試すのが無難
- 内臓が苦手なら「Không Lòng(No Offal)」と伝えればOK。メニュー表に英語併記があるので指差しでも注文できる
- 卓上のニンニクは「みじん切り」と「スライス」の2種類。ただし各テーブルに置かれているのはどちらか一方だけなので、好みがあるなら席を選ぶときに確認する(なければ交換してもらうか、お隣から借りる)。麺とよく絡むのはみじん切り
- ニンニク・ライム・青唐辛子で自分好みに味を調整するのが楽しい
- 3区周辺は2025年の行政区画再編で区の名称が変わっているため、地図アプリでは新旧両方の表記で検索するとスムーズ
店舗情報
- 店舗名:Nhân Quán Sài Gòn(Hủ Tiếu Nam Vang Nhân Quán)CMT8店
- 住所:122D Cách Mạng Tháng Tám, Phường Xuân Hòa, Thành phố Hồ Chí Minh(旧表記:Phường Võ Thị Sáu, Quận 3)
- 創業:1990年(公式サイト・メニュー表記載)
- 価格:普通95,000ドン/特別130,000ドン
- ※店舗情報・価格は2026年9月時点で確認した内容です。グルメサイトでは深夜まで営業しているという情報もありますが、訪問前にGoogleマップなどで最新の営業時間を確認することをおすすめします。
まとめ
95,000ドンは現地基準では高めですが、エビ・肉・山盛りの野菜、そして別添えのスープまで付いて、この一杯で食事としての「元が取れる」満足感がありました。フォーとは違う南部の麺を味わいたいとき、3区で夜にしっかり食べたいときには、ぜひ候補に入れてみてください。次は特別サイズの130Kや、卵麺の「Mì」も試してみたいと思っています。

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