ホーチミンと聞くと、バイクのクラクションが鳴りやまない騒がしい街を思い浮かべる人が多いのではないでしょうか。私もずっとそのイメージでしたが、中心部から少し離れると「本当に同じ街?」と思うほど静かなエリアがあります。
今回は、そんな落ち着いた住宅街にあるブンティットヌン(Bún thịt nướng)の店「Hoàng Văn(ホアン・ヴァン)」を紹介します。味の評判とレビューの良さに惹かれて、知人と一緒にわざわざ足を延ばしてみたお店です。
ホーチミンのエリアをつかむ下調べには、ガイドブックが1冊手元にあると何かと便利です。
ホーチミンとは思えない、静かな住宅街の一角
お店があるのは、空港のあるタンビン区エリアのChấn Hưng(チャンフン)通り。店に着いてまず驚いたのが、その静けさです。1区や3区の喧騒とはまるで別世界で、通りを行き交うバイクもまばら。細長い「ペンシルハウス」が整然と並び、お隣のビルには子ども向けの英語教室の看板が掲げられていました。

お店の向かいにあるのが、カラフルな外観の幼稚園「Trường Mầm Non Sơn Ca(ソンカー幼稚園)」。ABCや数字、音符が描かれた壁がかわいらしく、門の看板を見ると区の人民委員会が設立した公立園のようです。

日本人の感覚で言えば、「現地の人向けの高級住宅街」という雰囲気。観光客がふらっと通りかかる場所ではなく、地元の家族の生活圏にそのまま入り込んだような感覚でした。

店頭の日よけには、赤丸で「MICHELIN 2023」「2024」「2025」の3つのマークが誇らしげに並んでいます。ミシュランガイド公式サイトを確認すると、2026年版でも「セレクテッド・レストラン」として掲載されていました(2026年9月時点)。ただ、見た目はあくまでローカル食堂。この飾らなさがかえって安心感につながります。
1階は食堂、2階にも席があるローカル店
店構えは典型的なベトナムのローカル店で、間口の狭いビルの1階が厨房兼客席になっています。意外だったのは、2階にも席があったこと。ローカルの麺屋というと路面にプラスチックの椅子を並べるだけ、というイメージがありましたが、ここは上のフロアまで使って客をさばいています。
システムで例えるなら、1階だけでは処理しきれないリクエストを2階に振り分ける「スケールアウト」構成。それだけ地元のお客さんに支持されている証拠でしょう。
実食:ブンティットヌンは「混ぜてから」が本番
運ばれてきた器には、白い米麺(ブン)の上に、香ばしく焼かれた豚肉、カリッと揚がった春巻き(チャーゾー)、大根と人参のなます、刻みネギの油、そして砕いたピーナッツとごまがどっさりのっていました。

ブンティットヌンは汁のない「和え麺」なので、甘酸っぱいタレをかけて底からしっかり混ぜるのがポイントです。混ぜた瞬間、ネギ油とピーナッツの香りがふわっと立ち、焼き豚の香ばしさ、なますの酸味、春巻きのカリカリ感が一口ごとに入れ替わります。
味は文句なしにおいしかったです。冷たい麺なので、暑いホーチミンでもさっぱり食べられるのがうれしいところ。ミシュランガイドの紹介文でも、軽やかで酸味のあるタレが蒸し暑い街の気候に合う、と評されていました。

【Tips】Hoàng Vănに行く前に知っておきたいこと
実際に行って分かったこと&事前チェック
- 中心部(1区・3区)からは距離があるので、Grabなどの配車アプリで向かうのがスムーズ
- 向かいのカラフルな幼稚園が目印。見つからないときはこの建物を探すと早い
- 周辺は静かな住宅街。観光ついでに寄る場所ではないので、「この一杯のために行く」つもりで計画する
- 1階が埋まっていても2階に席があるので、すぐに諦めなくてOK
- ミシュランガイドの情報では支払いは現金のみ。ドンの現金を用意しておく
- 2025年の行政区画再編で住所表記が変わっているため、地図アプリでは「Phường Tân Hòa」と旧表記「Quận Tân Bình」の両方で検索すると見つけやすい
店舗情報
- 店舗名:Bún Thịt Nướng Hoàng Văn
- 住所:137 Chấn Hưng, Phường Tân Hòa, Thành phố Hồ Chí Minh(旧表記:Phường 6, Quận Tân Bình)
- 営業時間:毎日 7:00〜20:30(ミシュランガイド掲載情報)
- 支払い:現金のみ
- ミシュラン:2023〜2025年の掲載マークを店頭に掲示、2026年版もセレクテッド・レストランとして掲載
- 目印:向かいにカラフルなソンカー幼稚園(Trường Mầm Non Sơn Ca)
- ※店舗情報は2026年9月時点で確認した内容です。今回は知人がまとめて支払ってくれたため、私自身は正確な金額を把握していません。2023年の現地報道では1杯38,000ドンと紹介されていましたが、変わっている可能性があるため、訪問前にGoogleマップなどで最新情報を確認することをおすすめします。
まとめ
騒がしいイメージのホーチミンで、静かな住宅街の空気ごと味わえるのがこの店の魅力でした。わざわざ足を延ばした甲斐のある、評判どおりの一杯です。中心部のにぎやかな店に少し疲れたら、ローカルの生活圏にお邪魔するつもりで訪ねてみてください。次に行く人の参考になればうれしいです。

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